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9月21日

社会書『誰が「音楽」を殺すのか?』(津田大介)

輸入権、CCCDに関する考察が書かれている。
先の著作権法改正は、
邦人アーティストのアジア盤が
日本国内へと還流防止が目的となっている。
しかしそれが欧米から日本への輸入にも
適用可能となっている内容である以上、
私たちは洋楽の新譜を
外資系レコード店で2000円切る値段で
買うことができなくなるおそれがあるのだ。
この著作権法改正については
私も本著を読む前から知っていたし、
輸入権についても知っていた。
しかし附帯決議やレコード協会の声明等で
欧米からの輸入CDには今後適用されないと
信じきっていた。
しかし附帯決議には法的拘束力がなく、
著作権法の附帯決議が守られなかった
過去があるとなると
おいおい、本当に大丈夫かと不安を覚える。
ちなみにその附帯決議とは、
1991年の著作権法改正で出た
貸与権によるものだ。
現在1年間レンタル禁止となっている洋楽CDだが、
貸与権が与えられた際には
邦楽同様発売後3週間禁止で
レンタル業界とレコード会社の間で
合意されていたという。
また、あるタイトルの輸入禁止が決まると、
それは最大7年間拘束される。
その国内盤が輸入禁止期間中に
廃盤になっている可能性は大いにある。
こういった状況を考えた場合、
この輸入権の設定は
あまりに業界保護に傾きすぎではなかろうか。
WTOに加盟している以上、
邦人アーティストに限定することが
できないのであるならば、
この法改正はもっと、
邦楽CDの還流によるレコード会社の損失と
輸入洋楽CDが手に入れられなくなるかもしれない
音楽ファンの不利益のバランスについて
もっと考えていくべきだった。
政界とパイプを持っている業界に比べ
私たち一般消費者はあまりにも非力だ。
だからこそ、不利益に対しては
団結して声を上げていかなければならないし
05年1月から施行された際には
この法律の運用に対して
私たちは業界を監視していかなければならない
というのはまさにそのとおりだと思う。

9月20日

小説「アフターダーク」(村上春樹)

主な登場人物は高橋と浅井マリ。
村上春樹が新たな試みを
しようとしているように感じた。
21の男と19の女が
夜の街で出会うのに性描写がない。
お互いに好意を持っているが
ラストまで2人は手をつなぐことすらない。
もちろんこの作品に描かれているのが
午前0時前から午前7時前までの7時間という
わずかな時間であるというのもあるだろう。
しかし、それまでの作品と比べると
「あれ?オチは?」と思わせるのは確か。
推測だが、「世界の中心で〜」のヒットを
意識しているのではないだろうか。
個人的にはこういう進み方は嫌いじゃない。
下心を持って優しく接していて
それが強引でないから次の一手が
ゆっくり繰り出されていく。
会ってすぐそんなに進展しないリアルさ。
そしてラストは登場人物が家庭の元へ帰る。
雑誌などのモデルをしていたマリの姉エリ。
一時期登校拒否をしていたマリ。
親と不仲でジャズバンドの活動に熱心な高橋。
みんなどこかに普通と違う部分を持っているが
そういう人ほど自分の居場所を持っている。
私自身、周りからは変わっていると
見られていると思うし、
私とそりが合わない人にも出会ってきたが
その分家族、友人、バイト先など
身の回りの社会に守られ続けてきたなぁと思う。
恋愛を意識しているときって
その瞬間を充実させたいと
刹那的な感情がそこにはどうしてもある。
そのときは意識していないのだが、
あとでそのときを振り返ると、
その前後でずっと仲の良かった友達など
長い期間自分を支えてくれた存在の
大切さをそのとき以上に感じてしまう。
振り返るには私はまだ若過ぎると思うが
読みながら大学時代を思い出した。

9月19日

映画「誰も知らない」

話題の作品を見てきた。
88年7月末に発覚した「巣鴨子供置き去り事件」を
モチーフとしていて、
ハッピーエンドでは終われない映画。
この映画でも事件同様に子供が一人死ぬ結末。
この事件に興味がある人は、
事件が映画ほど脚色されていない
当時の新聞記事を見るとよいと思うが、
親がいない児童たちが暮らしていく大変さ
(というか無理さ)を、映像は衝撃的に伝えている。
子供たちが極限まで追い詰められるまで
「誰も知ら」れずにいる都市の匿名性の恐ろしさを
また感じずにはいられない。
街のネオンの中を泳いでいる子供たちが
実は家出中というのも実際ありうる話だし
両親に捨てられたという者もいるだろう。
都市の匿名性はフィクションの中の話ではないし、
むしろ現実のこの世界の中のほうが
至るところに点在している。
そして危惧すべきなのは、
匿名の都市の中で悲鳴をあげられずにいる
状況を作り出している一端となっている行政。
作中、明(柳楽優弥)の母親(You)が
戻ってこないことを知りコンビニ店員(タテタカコ)は
「警察とかに相談したら?」と心配する。
「そうすると4人で暮らせなくなっちゃうから」
と答える、行政への諦念は
多くの弱者は実際感じているのではないだろうか。
私はこれまで非常に恵まれた生活を
送ってきているがそれでも
案件を効率的に処理することばかり頭にある
行政の姿勢というものを感じることがある。
この映画は中高生にぜひ見てほしい。
「こんな家出てってやる」と思っても
実際出てったらどれだけ大変か、自分が
家族や周りに助けられてきたことを実感できると思う。



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