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5月30日

映画「キッチン・ストーリー」

話の舞台はノルウェー。
主な登場人物は調査員と被験者の2人。
お互いに壮年を過ぎた独身の男性。
調査内容は、独身男性の台所での行動。
家事の負担を減らす台所用品等の研究期間である、
スウェーデンの「家庭研究所」から
研究員フォルケがノルウェーへと派遣される。
フォルケの調査対象はノルウェー人のイザック。
馬の手入れと買い物以外は家から出ないイザックを
足の高い監視台の上を室内に設置し監視する。
調査員と被験者は会話をしてはいけないという決まりから、
調査時間中の2人の間は気まずい空気が流れている。
フォルケがゆで卵を食べるのに、
調味料台からイザックの塩を拝借したり
フォルケが風邪をひいたり
いくつかの出来事を経て、2人の間に友情が生まれる。
話はポジティヴな方向に進むのだが、
それまでの2人の過去がフラッシュバックして
見ていてふと切なくなる。
イザックの誕生日を2人で祝うシーンがある。
それまで1人で誕生日を迎えていた者同士が
2人で誕生日を祝う。
そこでは2人で祝う喜びが描かれるのと同時に
それまで1人で誕生日を迎えてきた
お互いの過去が浮かび上がってくる。
そして何より切なくなるのは
見ていて2人の関係の未来が予想できてしまうこと。
ネタバレを避けるためラストは言わないが
調査期間が終わったら彼らはどうなるんだろうと、
そこにあったのは所詮、期間限定の友情だったのではと
思わせる切ない予感がラスト近くまで続く。
自分には老後に何人の友人が
残っているだろうとか考えながら見ると
ただのほのぼの映画ではない世界が伝わってくると思う。

5月23日

イベント「ハーブ・リッツ写真展」

大学時代にこの写真展に出会っていたら、
私は写真を趣味にしていただろう。
大学時代仲良くしていた友人にKという男がいた。
大学近くに借りていた彼の部屋には
よく入りびたらせてもらっていた。
Kの部屋に泊めてもらった翌朝
Kがかき上げた前髪をカチューシャで止め
メガネをかけた起きぬけの姿には
独特の佇まいがあった。
人には仲の良い友人だけに
見せる姿というのがあり、そんな素の姿が、
その人の魅力をよく表している
というのはよくあることだ。
ハーブ・リッツが写真家として
名を成すきっかけとなったのは
1978年に撮ったリチャード・ギアの写真だ。
タイヤがパンクしてスタンドに入った
リチャードの姿を写した作品は
ハーブだから撮れたと言っていいだろう。
ハーブは自分の才能として
撮るもの、タイミングを見ぬく眼と
人と上手くやっていけることを
自分の才能として挙げている。
彼は友達であるリチャードから、
俳優や女優などに被写体を広げ
商業的に撮るようになっても、
彼はその才能を発揮している。
シニード・オコーナーはやさしい瞳をしていて
静かな写真となっているし、
エリザベス・テイラーも静かに前を見据えながら
落ちついた表情をしている。
自分がやさしい表情をしていれば
相手もやさしい表情を返す。
彼はとても幸せに仕事をしていたのではと
とてもうらやましくなった。

5月2日

イベント「ニューヨーク近代美術館展:モダンってなに?」

館内で興奮してしまった。
ピカソの「建築家のテーブル」が来てる!
約250点の展示作品のうち
およそ7割が日本初公開とのこと。
もちろんピカソのそれも日本初公開。
ジョルジュ・ブラックが好きな私は
茶色中心の色彩のキュビリスム、
この頃のピカソが好き。
「建築家のテーブル」は以前アメリカで見ていて
思いも知らぬ再会に喜ぶといった感じだが、
クルト・シュビッタースの
「明るい中心を持つ絵画」は
中心がアイボリー色、全体は茶色中心の
色彩で構成された作品で、
落ちついていながら明るさのある
このような色使いをいままで見たことがなく
「いいもの見た」と感動した。
ウェッセルマンの「スモーカーI」もよかった。
これは日本に来てる気がする。
口紅の広告にそのまま使えそうな
鮮やかな発色の唇が煙草を加えている。
変形キャンバスの作品で、
口紅と煙草と煙の形に切り取られている。
壁から唇と煙草と煙だけが浮き出ている状態だ。
ここまで徹底的に唇を描いたこの作品に
それだけで有無を言わさず作品として
通用させてしまう、大きな力を感じた。
見た瞬間に息を飲む作品ってそんなに多くない。
そういう作品に出会えると、
その展覧会は行ってよかったなと思う。

5月1日

映画「ロスト・イン・トランスレーション」

仕事で海外に行くのって、
旅行で海外に行くのと違って
違う文化に触れてそれを楽しむのが 目的ではないから
訪問先に対する違和感ばかり
強く抱いてしまうのも分かる気がする。
話の内容は、日本のメーカーの
CM撮影で来日した映画スターボブと
夫の撮影の仕事で来日した
カメラマンの妻シャーロットの出会い。
お互いがお互いを必要としているのは
それはここが日本だからであって
アメリカに帰ればそれぞれの居場所がある。
たけどここでお互いが惹かれあったのは確かなこと。
ふたりの東京での思い出が
美しく昇華されたラストは 「見てよかったな」と思うはず。
日本文化への戸惑いの描写も素直に笑えた。
もっと、「ステレオタイプで物事見やがって」
みたく腹立たしく思うかと思ったのだが。
個人的に気に入ったのはしゃぶしゃぶ店でのシーン。
メニューに載せられた6枚の写真、
たぶん特選とか特上とかなのだろう、
「違いがわからない」とシャーロットがつぶやくが、
日本人だってよくはわかってない。
「一番安いのだとかっこ悪いし
肉が硬かったりしたら嫌だな」と
中くらいのランクを何となく頼んでいるわけで、
そんな日本人気質が浮き彫りにされることを含めて
これらの描写は見ていておかしかった。



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