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5月23日

小説「野生の風」(村山由佳)

主人公は染織家。
この小説を読んでいて、芸術家に憧れてしまった。
アフリカの風景であったり、見たものや感じたことを
一枚の布など、形あるものとして
具体的に表現するというのはすばらしいことだと思う。
私たちは日々、色々なものに触れ、その都度いろいろなことを感じている。
その多くはすぐに色あせてしまうが、
時には、長く心の中に残るような強く印象に残る出来事に出会うこともある。
この小説にはアフリカの自然の描写が数多く出てくる。
活字を通しての追体験ではあるが、
アフリカの魅力が伝わってきて、強い印象を私に残す。
この小説で私の頭の中に浮かんだアフリカの風景を表現したくなるくらい
この小説の描写はとても色鮮やかだ。
主人公の視点の移り変わりが克明に描かれているのが、
この小説の描写が色鮮やかである理由の一つだろう。
アフリカに行きたくなること間違い無い作品。

5月20日

マンガ「童夢」(大友克洋)

ブックオフで¥100だったので、思わずゲット。
訳わからないオカルトチックな話をテンポ良く読ませる。
人間の欲望に法則なんてないし、
出来過ぎた話よりはよっぽど面白いのも確か。
大きな団地で次々と起こる変死を警察が追っている。
現実的に考えれば、警察の世界の方が正しいのだが、
この作品の中では、団地の中の世界が極めて整然と整っていて、
変死が起こる団地の世界観で、この作品を読み進めてしまう。
このマンガをうまく説明できないのだが、
このマンガは、世の中にはわからないことがあるということを意識させる。
警察が変死を解き明かそうとし、
変死の秘密が解き明かされるのではと期待するも、
問題はどんどん複雑化し、ほとんど何も解決しないまま作品が終わる。
現在は情報があふれ、情報の分かりやすさが重要視されがちだが、
実際に出会う出来事の場合、このマンガのように
分かろうとしても分からないことって多いと思う。

5月18日

ノンフィクション「ロシアから来たエース」(ナターシャ・スタルヒン)

戦前戦後巨人他で活躍したヴィクトル・スタルヒンのノンフィクション。
ロシア革命に追われてスタルヒン親子がロシアを出国するところから
スタルヒンがプロ野球を引退するまで描かれている。
野球が敵性視され、そのスケープゴートとしてスタルヒンを追い出すなど、
アンチ巨人の私は、巨人のスタルヒンに対する扱いを通して
「巨人って酷いなぁ」と思わずにはいられないが、
ロシアを亡命し、日本国籍も取得できず、
社会生活を送る上でたくさんの苦労を味わったスタルヒンの生涯は、
人権の大切さを考えさせられる。
「須田博」と改名を余儀なくされたのはたまらなくつらいことだと思う。
また、戦中戦後の物資不足の描写はショックだった。
物質的な充足無くして、社会的に恵まれた生活は送れないなと思った。
現在は、物質的に恵まれているし、
人権問題他、社会問題に対する取り組みも
NGO、NPOらの手によってすすめられている。
戦後、少しずつ良くなった日本のこの流れを
停滞させないようにしないとなぁと思った。

5月14日

マンガ「致死量ドーリス」(楠本まき)

鋭い刃物のような個性を持つ蜜。
他人も自分自身も傷つけてしまうような危うさを感じさせる。
蜜は、自分の個性が持つ刃物を向けてもよい相手を求めている。
主人公がその相手となろうとしているが、未だその途上で、
蜜の精神はとても不安定だ。
人と人との関係が薄くなっている現在、
私たちはよく「私は自分ひとりで生きていける」みたく
うそぶいてみたりするが、
実際はそうじゃないことを知っている。
多くの人が、日々感じる孤独を、紛らしながら生きている。
無機質な生活に疲れたとき、このマンガを読めば、
「こんな感じに捕われているのは自分だけじゃないんだ」と
精神的に不安定な自分を許容できるだろう。

5月12日

小説「天使の卵」(村山由佳)

大きくなると、子供のように喪失感を表すことが出来なくなってしまう。
子供は大切なおもちゃを取られると、
遠くの人にも聞こえるくらい大きな声で泣きわめくが、
大きくなると、何かを失っても、涙を流すことさえ我慢しがちだ。
この小説では、主人公が喪失感を身体いっぱいに表している。
主人公の感情が読み手に伝わってくる。
この作品を読んだ後、感情を素直に表現できるのって素敵だなと思った。
また、感情を素直に表すことができる相手ってすばらしいと思う。

5月10日

マンガ「青い車」(よしもとよしとも)

切ないんだよなぁ。
絵が劇画のようにしつこくなく、あっさりとしている。
4コマで台頭したと言われ、思わず納得した。
ギャグっぽく話が展開しているときは別として、
シリアスに話が流れている時は、主人公の表情もあまり豊かでなく、
じっと見入ってしまうような絵である。
昔の彼女と会う「銀のエンゼル」とか、彼女の死を悼む「青い車」のような、
読み手を内省的にさせる作品がいい。

5月9日

マンガ「ショコラ・エブリデイ」(岡崎京子)

残念ながら現在絶版になっている岡崎京子のマンガ。
絵本のような、表紙・裏表紙がしっかりした装丁が目を引く。
紐のしおりが付いているのも珍しい。
この表紙にかわいい女の子が描かれている。
ウゴウゴルーガのコニーちゃんを岡崎京子が描いたことを思い出した。
双子の姉妹による冒険というちょっとメルヘンチックな話だが、
きっかけは二人の家出など、岡崎京子らしいパンク精神が見え隠れする。
殺人やクスリなどといったものが出て来ないし、
性描写もほとんど無い。
岡崎京子のマンガを読んで「全ての高校生が、背伸びしていて、
クスリとかに興味を持っているわけじゃない」と思っている人は、
他の作品より抵抗が少なく読めるかもしれない。
ただ、ハラハラする展開、切羽詰った時の心理描写、
悲観的にさせる喪失感を生むような事故といったものも出て来ないので、
岡崎京子が好きな人は物足りないと感じるかもしれない。

5月5日

マンガ「釦」(小野塚カホリ)

3つに章立てされた表題作「釦」と短編が2つ収録されている。
詳しくは書かないが、「釦」のラストがいい。
江國香織の小説のような狂気を含んだラスト。
ずっと比較的穏やかに話が進んでいただけに、この展開にはハッとした。
岡崎京子のマンガのように
「いつ歯車が狂うのだろう」とハラハラしながら読むのとは違う展開。
短編「OPUS XVI」(オーパス 16)も面白い。
姉の男を寝取ってやろうという主人公の屈折した感じに共感し、
話の世界に入り込んでしまう。

5月3日

ビジネス書「チーズはどこへ消えた?」

私自身、過去の成功体験に固執しやすい。
成功している時ほど、
その勢いを使って新しい成功を手にしやすいかもしれない。
しかし、成功している間というのは、その成功に夢中になり、
一つの成功する方法から、一つのよい結果を得ることで満足する。
でも、一つの成功は通過点であり、
その先には更なる成功が待っているとポジティヴに考えて行きたい。
この話を読んで、元阪急の山田久志を思い出した。
彼は速球が通用している間に、新しい変化球シンカーをマスターした。
速球というチーズが手元に残っているうちに、
先を見据えてシンカーという新しいチーズを追い求めたのだ。
状況が変化してしまうのは仕方がないことなのかなと思う。
でも、状況の変化に気付かない、もしくは気付いていない振りをしてしまいがち。
状況の変化に構わず、20年前の自分の成功体験を引きづって
同じ方法を押し付けようとするプロ野球コーチとか、
典型的な反面教師と言えるのでは。

5月2日

映画「ミッション・インポッシブル 2」

前作よりも話がわかりやすい。
善玉と悪玉と一人の女の三角関係。
アクションを目立たせていることもあり、見ていてあまり疲れない。
アクションが多いこともあり、少し残虐。
作品の中で殺された人を一人一人数えたらかなりの数になると思う。
炎越しにトム・クルーズが表れるシーンとか、
単なる派手なアクションの連続でなく、
アクションにメリハリがあるので、見ていてワクワクする。
難を言えば、前半の主人公と女のロマンスが少し冗長。
また、ラスト近くの二人の格闘も少し長くて退屈する。

5月1日

『キャッチ・ア・ファイアー』(ボブ・マーリィ・アンド・ザ・ウェイラーズ)

ジャマイカのボブ・マーリィ率いるウェイラーズが、
イギリスのアイランド・レコードに初めて録音した作品。
オリジナル盤は、タイトルに引っかけてライターの形を模している。
この後、ボブ・マーリィはアイランドレコードに
「アイ・ショット・ザ・シェリフ」、「ノー・ウォーマン・ノー・クライ」といった名曲を残していく。
"ン・チャカ、ン・チャカ"というレゲエ特有のリズムを
当時の多くの白人たちはこのアルバムで知ったわけだが、
ジャマイカの本場のスカなどを耳にする機会がある現在の我々には
もしかしたら聴きやすいと感じるかもしれない。
"ン・チャカ、ン・チャカ"の"チャカ"という音は、エレキ・ギターであり、
また、オルガンがいたるところに使われている。
パーカッション以外の楽器はエレキ・ギター、エレキ・ベース、ドラムなど、ロックと変わらない。
でも、"タタタタ"と小刻みするドラムなど、
ロックしか知らない人には、新鮮な音使いがもりだくさん。
5曲目の「ロック・イット・ベイビィ」では黒人のコーラスも聴け、
こういったソウル・ミュージックっぽいレゲエが好きなら、『ナッティ・ドレッド』がお薦め。
私も好きな有名曲2曲だけ詳しく紹介。
1曲目の「コンクリート・ジャングル」はロック調のメロディー。
エレキ・ギターの音はメロディアス。 ロックのエレキ・ギターのソロにかなり近いような演奏も見せたり、
私お気に入りのイントロのブルース・ロックっぽいところとか、
エレキ・ギターの音がかなり目立ってる。
そこにボブの憂いのあるヴォーカルとコーラスが重なる。
ボブは、単に声を張り上げて歌うのではない。
甲高く声を張り上げると声の線が細くなるのだが、
声を震わせながら力強く歌うので、切実な感じと力強いが同居している。
6曲目の「スター・イット・アップ」はゆったりとしたテンポの曲。
CJ・ルイスや、ジャネット・ケイのようなラヴァーズ・ロックが好きな人にお薦め。
ベース音に合わせて、時計の振り子のように体を左右に振ってみるのも楽しい。
ゆったりとしたベースの音に、エレキギターの音などが複雑に絡み合っている。
ベース音の奥にいろいろな音が聞こえる。



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