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3月29日

オムニバス『YEN卒業記念アルバム』

大滝詠一のプロデュース活動の場はナイアガラ・レーベルである。
一方、細野晴臣のプロデュース活動の場となったのがYENレーベルである。
立花ハジメ、戸川純、越美晴などの作品が、ここで生み出された。
卒業と銘打っただけあって、YENレーベル最後のアルバムとして
YENレーベルのアーティストが全員参加している。
1曲目は全員参加の「また会う日まで」。
細野さんの低い声が、賛美歌の重みのある荘厳な詞とメロディーに乗っている。
細野さんの声はボコーダーなどのエフェクトがあまりかかっておらず、
そうした少し重い雰囲気が、卒業らしく落ちついた曲調になり、
聴いていて心が落ち着く。
冒頭の細野さんと参加ミュージシャンの掛け合いも面白い。
個人的には、戸川純の「夢見る約束」を
細野晴臣がセルフ・カヴァーをしているのがお薦め。
戸川純がクドイまでに歌い上げているのに対し、
細野晴臣は余韻を残さず歌い、
ニューウェーブっぽくとんがった感じになっている。
ヴォーカルがそんなに自己主張をしていないので、
曲のアレンジや、バックの演奏にも自然と耳が行く。
ボーカルが曲の中にうまく溶け込んでいる。

3月26日

『東京』(サニーデイ・サービス)

はっぴいえんどに近いと言われるこのグループの作品の感想を、
私なりの視点で書き綴ってみたいと思う。
オープニングの1曲目の「東京」を聞いてぶっ飛んだ。
「何これ、70年代のなよなよフォークじゃん」
よく90年代にこんな曲を1曲目に持ってこれたものだと感心。
2曲目から、もう少し洗練され少し安心。
6曲目の「青春狂走曲」はテンポも良く、はっぴいえんどよりもポップ。
このアルバムから、彼らの「はっぴいえんど度」を測ってみる。
アコースティックによる手作り感のある音。
メロディーに無理矢理詞を乗せたようなちょっと舌っ足らずな歌詞と曲。
ヴォーカルの声、とギターの音が揺れる感じ。
ほのぼのとした音楽を作るグループは他にもいる。
この音が揺れる感じが彼らの個性。
6曲目のようなポップな感じな曲も、「揺れ」が加わることで、彼らの個性になっている。

3月24日

『あゝ、我が良き友よ』(かまやつひろし)

『All About Niagara』をお持ちの方は、p291を。
昨日取り上げた『夢で逢えたら』を最初に歌ったのは、吉田美奈子である。
(参照 6月13日のセレクション)
彼女と大滝詠一の楽曲との出会いは、「わたし」。
この曲は、『MINAKO』というアルバムに収録されている。
この曲は、ノリのいい面白い曲である。
そして、その流れを組んでいるのが、
今日紹介するアルバムに収録されている「お先にどうぞ」である。
(現行の『ナイアガラ・ムーン』のライナー・ノーツは、
「お先にどうぞ」「あの娘に御用心」「わたし」「夢で逢えたら」を
ポップス・タイプだと書いている)
ポップス・タイプを一言で表せば、
メロディー・タイプとノヴェルティー・タイプの中間の曲調といったところか。
『ロンバケ』で言えば、「FUN×4」が近いのでは。
「お先にどうぞ」は、ナイアガラ・ファンなら、
イントロのコーラスで気に入ってしまう。
大滝詠一が"ドゥン・ドゥク・ドゥン"と低音を、
山下達郎がファルセット(裏声)できれいな高音を担当している。
この曲のノリを文字で表せば、"お・さ・き・に どぉぞ♪"といった感じ。
この「お・さ・き・に」のノリは、
『ロンバケ』の「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba 物語」の"アツ アツ"につながるだろう。
私はこれを4文字ポップと呼びたい。
このアルバムには、大滝詠一以外にもいろんな人が曲を提供している。
細野晴臣、加藤和彦、りりぃ、吉田拓郎、井上陽水、南こうせつ、遠藤賢司と、
キャストがとても豪華である。
かまやつひろしの自曲も収められている。
その曲、「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」はかまやつの代表曲の一つである。
吉田拓郎の「我が良き友よ」ももちろん佳曲だが、
ここでは、りりぃの「DARLING」を紹介したい。
りりぃのハスキーな憂いのあるヴォーカルがとてもいい。
この曲では、かまやつひろしはサブ・ヴォーカルといった感じ。
かまやつの軽いヴォーカルが絡むことによって、
曲調が暗くなり過ぎていないところがいい。
細野晴臣の「仁義なき戦い」ではベース音がかっこよかったり、
どの曲も作家の個性がよく表れていて、
一枚のアルバムでいろんな曲を楽しめる。

3月23日

『夢で逢えたら』(シリア・ポール)

『Let's Ondo Again』と同じく、
CBSソニーで、カタログ化しなかった作品。
この作品は、『Let's Ondo Again』のような奇抜な曲調なわけではないが、
若い白人女性に日本語で歌謡曲を歌わせる構想は、
奇抜と言っていいだろう。
「夢で逢えたら」では、歌い方に少し小節がきいているし、
これは歌謡曲である。
大滝詠一がプロデュースするにしても、
ただ白人女性にフィル・スペクターやキャロル・キングを歌わせるのなら、
ナイアガラレーベルで発表しなくてもいいはずだろう。
外国曲から60年代の懐かしい雰囲気を楽しむのもいい。
(しかし、アレンジは、ストリングの感じなど、A&Mのような洗練された感じ)
大滝詠一の曲は、洋楽のエッセンスをうまく取り入れていて、
洋楽っぽい曲をたくさん作っているが、
(「ロンバケ」の本格的なコーラスなどは典型的な例)
ラテン調の「恋はメレンゲ」をシリア・ポールが歌うと、
どうしても、歌謡曲っぽさを感じてしまう。
歌詞が日本語による部分は大きい。
しかし、それだけではないだろう。
歌手が白人であることからくる、
洋楽として聴こうという深層意識に
「洋楽ではないぞ」という小さな違和感を与える。
この違和感が大滝詠一の個性であり、
西洋人から見ればエキゾチックと感じる部分だろう。
大滝詠一の曲はあくまで洋楽「っぽい」であり、
やはり邦楽なのである。
多分、大滝詠一の意識も、邦楽であろう。
つまり、邦楽と、洋楽にうまく接点を持たせているのである。
(小西康陽の音楽にも同じことが言える)
7曲目の「The Thought Of You」での
大滝詠一とシリア・ポールのデュエットは、
「銀恋」のような掛け合いのデュエット。
歌謡曲っぽさを感じずにはいられない。

3月22日

『Let's Ondo Again』(Niagara Fallin' Stars)

『ロング・バケイション』の輝きを説明するためには、
大滝詠一が、『ロンバケ』前に出したアルバムについて説明しなければならない。
『ロンバケ』は、78年に発表された『Let's Ondo Again』に次いで
発表されたオリジナル・アルバムなのである(81年3月)。
では、『ロンバケ』の前に発表された『Let's Ondo Again』とは、
どのような作品だったのだろうか。
一言で言えば、毒々しい。
非常にアクの強いアルバム。
これは、中毒のような魅力であり、決して万人向けではない。
商業的なポップスでないからだろう、
大滝詠一がコロムビアからCBSソニーに移籍した際、
このアルバムは廃盤となっている(笑)。
(その後CDで再発され今に至る)
『ロンバケ』のヒットは、
この前作と内容があまりに対照的だったことと無関係ではないだろう。
『ロンバケ』を聴いて、「爽やか」というイメージを持った人は、
『EACH TIME』を次に聴くとよいと思う。
『EACH TIME』は、『ロンバケ』の後に発表されたアルバムで、
作品の雰囲気が近い。(参照 10月5日のセレクション)
『ロンバケ』しか知らない人が聴くには、とても個性が強過ぎるアルバムだ。
「PLAY」ボタンを押すと、「えっほ、えっほ、えっほ」の掛け声で1曲目が始まる。
内容について何も知らず聴けば、まずこのことにビックリするに違いない。
このアルバムを最初聴いたとき、
伊藤銀次は、「大滝さんもついに狂った」と思ったらしい。
このアルバムの根幹にあるのは、パロディである。
よって、元ネタを知っていれば、より楽しめる。
例えば、タイトル曲「Let's Ondo Again」を楽しむためには、
チャビー・チェッカーの「Let's Twist Again」を知っていたほうが楽しめる。
2番の歌詞、
さあさあさあ「わ」になって「ゐ」になって「う」になって「ゑ」になって「を」どろう
という部分は、それだけでも馬鹿馬鹿しくて充分面白いのだが、
Around and around and up and down We go again
という、「Let's Twist Again」の歌詞を知っていれば、
Around and around という歌詞からここまで脱線させてしまう
大滝詠一のセンスに微笑んでしまうことだろう。

3月21日

解説書「All About Niagara」(大瀧詠一)

「追いかけず自分のペースでナイアガラ」
五・七・五で表すとこんな感じ。
この本は読むのではなく、調べるのに用いる。
ディスコグラフィーをじっくり読んでしまうと、
あっ、「○○」持ってない。欲しぃ〜となってしまう。
リアルタイムで接してきたファンには勝てないと察し、
自分の家をナイアガラ資料館にする計画はやめた方がいい(笑)。
「○○盤はクレジットに〜〜の表記が無い」といったことは、
中古屋を開こうと思っていない限り、忘れていいと思う(笑)。
ただ、ナイアガラ作品を聴いていて、
「あっ、この音が気になる」みたいな時は、
その作品が発表された頃の大滝さんの言葉が、
その音の背景を教えてくれる。
この本には、ライナー、対談等、大滝さんの言葉がたくさん詰まっている。
また、大滝さんの年表から、作品が作られた頃の様子も推測できる。
ディスコグラフィー等を見て、
自分がナイアガラ関連をどれくらい知っているかを計り、
自分のマニア度をランク付けしてみるのも面白いかもしれない(笑)。

3月20日

映画「クレイマー、クレイマー」

原題は「Kramer vs. Kramer」。
つまり、離婚した前夫Kramer と、前妻Kramer が
子供の養育権を争う裁判。
主人公のダスティン・ホフマンが見ていてかわいそうになる。
仕事はクビになるし。
でも、最後のハッピー・エンドは納得。
仕事がクビになったり、いろいろありながら、
無理矢理ハッピー・エンドにした映画とは違う。
奥さんが出てってから、子供を育てている姿が
とてもイキイキしていて、これがハッピー・エンドの伏線だと納得がいく。
それにしても、弁護士って、
自分の依頼人を有利に持っていくために
相手の非を徹底的に突いてくる。
私には出来ないなぁ。
こういう民事事件の方が刑事事件よりもお金になるけど。

3月19日

『TAMORI』(タモリ)

4ヶ国語マージャンが収録されていることで有名な作品。
それ以外にも、今では見せることが少なくなった
タモリらしいユーモアが随所に表れている。
例えば3曲目の「教養講座゛日本ジャズ界の変遷"」での
講師の「私はクラシックをやっております関係上、
ジャズの方は、まあ少々は分かるんですが、
ま、たかが民族音楽でございますので、
そう難しく考えることは無いと思います」という台詞は、
クラシック至上主義への痛烈な皮肉である。
ここでは、山下洋輔のピアノのマネも聞ける。
5曲目の「世界の短波放送」では、
「百万人の中国語」というネタが聞けるのもうれしい。
11曲目の「゛武蔵と小次郎"part1〜討入り前の蕎麦屋の二階」では、
美濃部元都知事、田中角栄、横井庄一の物マネも聞ける。
4ヶ国語マージャンにも触れると
(「第一回テーブル・ゲーム世界選手権大会 於 青森」がそのタイトル)、
メンツは英語、中国語、ハングル、日本語。
日本語は寺山修司なので、彼の醒めた感じが、
三人マージャンを見ながら、マージャンについてコメントしているような感じとなっていて、
四人が雀卓を囲んでいるような感じをうけないところが面白い。

3月14日

『レインボウ』(ハーヴィー・シュワルツ)

原題は「Underneath It All」。
こういうかっこいいジャズが、
80年代に置き忘れられてしまったような気がしてならない。
使用されている楽器は、どれもアコースティックなのだが、
メロディはフュージョンっぽい。
1曲目の「レインボウ」のチェロは、クラシックっぽくない。
プログレッシヴ・ロックっぽく、オルタナ的。
ピアノも跳ねる感じでかっこいい。
私が知っているピアニストで例えると、矢野顕子に近い。
2曲目「ビューティー・ウィズイン・ザ・ビースト」の出だしもいい。
ベースで静かに始まる感じは、老人がお伽話をゆっくり語るかのよう。
瞑想的というライナーの言葉にもうなずける。
モダン・ジャズのようなゆっくりとしたフリューゲルホーンはムーディー。
黒っぽいジャズより、ECMジャズの方が好きな人にお薦め。

3月7日

映画「ハイ・フィデリティ」

この映画を見ようと思った理由は、
ジャック・ブラックが出ているから。
(ジャック・ブロック→5月5日の「エネミー・オブ・アメリカ」参照)
ジャック・ブラックが、いい味出してる!
ジャック・ブラックは、音楽オタク、Barryの役。
ちょっととんがった音楽を聴いているやつにありがちな
屈折した感じがよく出ている。
ラストがいい。
主人公の結婚を祝うライヴで、Barryがメロウなソウル・バラードを歌う。
このシーンに思いっきり感動してしまった。
屈折したオタクが、素直にバラードを歌っているんだよなぁ。

3月6日

「春の手紙」(大貫妙子)

すっかり春めいてきたのでこのセレクション。
ドラマ「家裁の人」の主題化だった曲。
大貫妙子の透明感のあるヴォーカルが、私は好き。
落ちついた声のトーンは、耳にとても優しい。
歌詞がとても切ない。
"しあわせだった"とか、"時が過ぎても"とか、
歌詞の視点が過去に向いている。
他にも"あなたは誰よりも素敵だった"というフレーズもある。
しかし、"めぐる季節を私は見てる"など、ポジティヴさもある。
カップリングの「会いたい気持ち」はアップテンポの曲。
そしてコーラスがきれいな曲。
私の大貫妙子のイメージに近い曲。
こういうポップさを含んだ曲がチャートから少なくなってしまった気がする。



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