7月29日

映画「17歳のカルテ」

すごく気に入った。
「ボーン・コレクター」で有名なアンジェリーナ・ジョリーがとてもきれい。
ぜひ見てもらいたいのでネタバレしないように気を付けながら書こうと思う。
主人公のスザンナはしばしば夢うつつの状態に陥ってしまう。
生活の中で過去の出来事がプレイバックする。
自殺未遂をして精神科に入院する。そこで境界性人格障害と診断される。
スザンナはずっと自分は何なのかとか、自分の将来像を描けずにいる。
私自身、現在就職活動中で自分の進路について悩んでいるところなので、
特に観ていて内省的な気持ちになった。
将来像をうまく描けないスザンナの気持ちはよくわかる。
私自身、人生とは同じことの繰り返しで、
一つの輪の中をずっとぐるぐると回り続けることなのではと思うことがある。
病院に入院している状態に束の間の安定を見出し
そこから抜け出せなくなってしまう気持ちもわかる。
将来って未知の領域であるわけで、すぐに答えを見出せないもの。
見出せないことをうまく隠せない人が
「精神病患者」のレッテルを貼られるのかなと思った。
個人的には生きることに対し不安があるのは当然だと思う。
全く悩みのない人とうまく付き合っていく自信はないなぁ(笑)。
また、劇中に使われていた「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」が印象的だった。
この映画はアメリカではR指定とのこと。
自分の将来について悩むことの多い10代にこそ観てもらいたい映画だと、私は思うが。

7月27日

『COMPUTER WORLD』(KRAFTWERK)

エントリーシート(ES=入社志望書)の執筆のBGMに愛聴したアルバム。
ESの執筆のように頭の中を整理しながらの作業の場合、
何か音楽をかけていると気が散ってしまうことがある。
特に邦楽は耳に言葉が飛び込んでくるのでダメ。
クラシックでも、盛り上がる部分に差しかかると気が散る。
私はこういう無機質な曲、
特に2曲目の「POCKET CALCULATOR」や 3曲目の「NUMBERS」をかけていると
自分が機械になったように能率が上がるのだが、
バックの打ち込みに気が散ってしまう人も多いだろうから、
全ての人にはお薦め出来ない。
基本的には単調な打ち込みは嫌いなのだが、
このアルバム、というかクラフトワークは好き。
単調な打ち込みが安定的に前頭葉を刺激してくれる。
5曲目の「COMPUTER LOVE」は好きな曲。
シンセが奏でるメロディーに憂いがあって、内省的にさせる。
タイトルにLOVEと付いてるだけあってメロディが甘い。
誤解を恐れずに例えると、小室メロディーのサビの感じ。
耳障りの良いメロディー。
6曲目の「HOME COMPUTER」、7曲目の「IT'S MORE FUN TO COMPUTER」は
耳障りの良い5曲目と違ってもっと、堅い感じ。
打ち込みが嫌いな人には神経が逆撫でさせるような曲だと思う。
テクノらしい曲と言うこともできる。
重低音と高音がぶつかっていて聴いていて落ちつかない感じ。
でも、こういう神経を揺さぶられる感じが「テクノ聴いてる」って感じにさせる。

7月26日

マンガ「ハルオ」(野火ノビタ)

野火ノビタと言われてもピンと来ない人も、
「センチメントの季節」の榎本ナリコと言われれば分かるのだろうか。
主な登場人物はアキオと名月<ナツキ>とアキオのイトコ、ハルオの3人。
アキオはハルオを抱えていて、名月は自分を飾るのが苦手で
それぞれうまく恋愛できないでいる。
ハルオは自分の居場所をアキオにしか見出せず、
アキオ以外の他者と協調した生活を取れず、
問題のある子と見られている。
名月の性格がよく表れている一節を引用。
林とは、名月の同僚。荻野とは、もちろん名月のこと。
林「だからそのー オレとつきあってくれないかなーと……」
名月「何で?」
林「何でって… 荻野さんが好きだから」
名月(アホかこいつそれをナゼかときーてるんだ!!)
このやり取りのズレは、名月の男に対する態度をよく表していると思う。
恋愛に対してぎこちないハルオと名月の様子を見ていると、
「恋愛って何なのか?」と恋愛に対して内向きになる。

7月18日

エッセイ「日記書いてる場合じゃねえよ」(安野モヨコ)

安野モヨコが公式サイトで連載していた「ともしび日記」を一冊の本にまとめたもの。
これを読んでまず思ったのは、「出版者の担当って大変…」。
締め切り間近なのにマンガ読んでるマンガ家をなだめ、おだて…。
でもって、マンガ家といえども人の子だから、わがままも言うし。
これを読んでると、「安野モヨコって、意外と普通の人だなぁ」と思う。
出てくる話題の多くはマンガとファッション。
マンガあまり読まない人、洋服に興味無い人は
出てくる名前、結構分からないのがあるかも。
私も、洋服のブランドとか分からないのが結構あった。
文体がいきいきとしていて面白い。
ご飯食べてて、ドラえもんの話題になって、
「まだ間に合う」と、ブックファーストに直行して、
ドラえもん買い込む話とか、読んでてその様子が伝わってくる。

7月5日

小説「ミッドナイト・コール」(田口ランディ)

短編集。「男がそばにいて欲しい」。
そんな女の孤独がうまく描かれている。
性描写の激しさが気になった。
私は、必要以上の性描写があると、
ストーリーに気持ちが集中できなくなるのでダメ。
村山由佳の描写でも気になるのに、それ以上。
「アカシヤの雨に打たれて」の男女がお酒を飲んでいるシーンとか共感できる。
お互いの性差を意識しながらお酒を飲むのは楽しい。
その後、時間が来て一人で帰るのは辛い。
一人になると、色々なことを考える。
私はとても寂しがり屋で、飲み会の帰りが嫌いなので、
自分と主人公を対比させながら読んだ。
「花嫁の男友達」という話もいい。
主人公が自分の結婚式に男友達Kを呼ぶ話だ。
遊び人タイプのKのことが主人公は今でも好きだが、
今の旦那という安定を選んだ主人公。
遊び人タイプは安定に脆いので、この選択は正しいと思う。
結婚式にKを呼ぶと言うことは、
「私は安定した生活を送るのだ」というKへの宣言だ。
Kを過去に置こうとしている。
Kが、その前年に「俺さあ、25のころ、わりとまじめに
おまえのこと好きだなって思ったこと、あったんだぜ」(過去形)と語らなければ、
主人公はKを結婚式に呼べなかったのではなかっただろうか。
主人公を過去に置いているKは、
結婚式のスピーチで自分も結婚する予定だと言った。
もう既に主人公を過去に置いているKの発言は、
Kを過去に置こうとしている途上の主人公には重い。
この、結婚式に呼ぶところから、
結婚式でのKのスピーチまでの話の流れが好き。
男が女の携帯電話を拾い、男が女の自宅にストーカー的な電話を入れる。
そして、女はその男が気になり始める。
「電話を待ちながら」は、そんな話だ。
この話にちょっとコミカルなものを感じた。
作者はコメディのつもりで描いてはないだろうけど。

7月4日

マンガ「デッサン」(小野塚カホリ)

短編集。やはり、この人は心理描写が巧いと思う。
また、この人の性描写は決してソフトではないが、
やまだないとや南Q太と違って、読んでいて嫌悪感を感じさせない。
表題作、「デッサン」の女の子を思う女の子の様子とか、
作品の中の空気が張り詰めている感じがすごくよく出ている。
あと、男がカッコいいんだよなぁ。「AIR」の車谷くんとか。
所作がスマート。気遣い出来てるって感じ。
あんなカッコいい男、現実にはいないだろと、ひがみたくなる。
最後にツッコミ。
「サンドリヨン」は、太った女の子、陽子が主人公の話なのだが、
なぜ告白されるというハッピーエンドにつながるかが分からない。
掃除したりといった、面倒見のいい陽子に森くんが興味を持ったから?
う〜ん、でも、この陽子、かなり恋愛に対して卑屈で、
恋愛の対象としてはどうか。
森くんとの接点が増えて、話が進んでいって、少し変わっていったが。
森くんが、卑屈な陽子に興味を持ったわけを描くには、
短編では無理だなぁ。



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