5月31日

マンガ「るきさん」(高野文子)

「BSマンガ夜話」という番組で知った作品。
「私もるきさんみたいに生きたい」という感想が
視聴者から寄せら番組へれていた。
1ヶ月の仕事が1週間で終わってしまうのはうらやましいけど、
あの、のほほんとした生活はちょっと。
あまりののほほんさに、
「いいよな〜、あんな生活してみたいよな〜」と
言いたくはなっても、そこに皮肉以上の意味は無く、
もうちょっとしっかりとした人に、私はなりたい。
目先の忙しさにとらわれているときに
この作品を読むと、「ま、いっか」という気になる。
浮世離れしたるきさんを見ながら
少しの間現実逃避するのも必要かも。

5月29日

『フェイクファー』(スピッツ)

このアルバムの中の4曲がベストに収録されている通り、
聴いたことある曲が他のアルバムより多く収録されている。
軽快なテンポの「冷たい頬」(3曲目)は好きな曲の一つ。
5曲目の「仲良し」のドラムのテンポは、
「ロビンソン」以前の、少し前のスピッツを思い起こさせる。
黒人のコーラスがイントロに使われている「謝謝!」(9曲目)も好きな曲の一つ。

5月28日

『SPILT MILK』(JELLYFISH)

演奏に違いがあるが、コーラスがクィーンっぽい。
ヴォーカルの感じも、高音の利かせ方は、
クィーンのフレディと似てるかな。
クィーンよりも、音が面白い。
悪く言えば、音が洗練されてないんだけど。
ジェリーフィッシュは、オルタナの中では聴きやすいバンド。
9曲目の「RUSSIAN HILL」では、
アコースティック・ギター、ホーン、ストリングスによる
スローなバックを聴かせてくれる。ソフト・ロック調の曲。
10曲目の「HE'S MY BEST FRIEND」でのコーラスは、
ビーチ・ボーイズっぽい。
12曲目の「BRIGHTER DAY」が顕著ではあるが、
調和のとれたコーラスと、
シャウトするヴォーカルのミスマッチが
このアルバムの魅力だと思う。

5月27日

『私は月には行かないだろう』(小室等)

残念ながら、このアルバムは現在廃盤である。
1曲目の「雨が空から降れば」は、
ゆっくりと力強く、言葉を一つ一つ歌っている佳曲。
小室等の代表曲である。
3曲目の「あげます」が、私は好きだ。
やや早口な出だしのこの曲は、
少し、吉田拓郎っぽい。字余りな歌詞が続く。
そして、ラストはゆっくり閉めくくる。
このメリハリが、とてもバランスいい。

5月25日

小説「水に似た感情」(中島らも)

三人称で書かれた小説ではあるが、
中島らも自身をモデルとした小説なので、
あまり、小説を読んでいる気がしない。
エッセイに近いものがあるが、エッセイと大きく異なる点がある。
エッセイは現在から過去を振り返る視点で書かれるのに対し、
小説は、作品の中で大きく時間を操ることが出来る。
この小説では、1度目のバリ島出発の前日から、
2度目のバリ島訪問の途中までが描かれている。
うまく撮影が進まないドタバタ劇として読むのもありだし、
オカルトな呪術の描写からエキゾチズムにひたるのもあり。
マリファナの描写に、中島らもの造詣の深さを感じ取るのもいい。
中島らもがどんな作家か知らないと、
話の流れについて行けないかもしれない。

5月24日

『FACING YOU』(KEITH JARRETT)

キース・ジャレットの最初のソロ・ピアノ・アルバムである。
キザな言い方をすれば、「キース・ジャレットのソロはここから始まった」。
1曲目の「IN FRONT」から、躍動感のあるピアノが聞こえてくる。
キースがノッているのがわかる。ハミングも低くうなるのではなく、高い。
矢継ぎ早にピアノから音があふれてくる。
『ケルン・コンサート』の方が落ち着いている。
『ケルン・コンサート』でも、速く弾く箇所はあるのだが、
ピアノの音の流れが穏やかである。
『ケルン・コンサート』が春の雨だとしたら、
『フェイシング・ユー』は、夕立である。
聴いていて心を打つメロディーを弾くが、
キースのピアノは決して、イージー・リスニングではない。
音を構築して行こうとする姿勢がそこにはある。
メロディーの限界に挑むように、一つ一つの音が連なって流れている。
キースのピアノは、お酒を飲みながら聴くと、
聴覚が敏感になっている耳に、染み入るように入りこんでくる。

5月23日

『ロング・バケイション』(大滝詠一)

夏が近づき、暑くなると聴きたくなる1枚。
真っ青な海とプール、白いパラソルとベンチが描かれた
ジャケットのイメージもあるだろうが、
1曲目の「君は天然色」から始まるこのアルバムは、
どの曲も音に開放感がある。
軽快なリズムと抜けるような高音のボーカルのバランスがいい。
6曲目の「雨のウェンズデイ」、
7曲目の「スピーチ・バルーン」はしっとりしたバラード。
軽快なテンポの曲が続いていたので
ちょうどいいクッションとなっている。
西海岸のポップスのように
楽しませるためだけに歌が書かれている。
このアルバムは「名盤」とよく言われるが、
そういったことを考えずに、ただ聴いてみてほしい。
名盤は、肩書きが無くても楽しめるものであり、
このアルバムを聴いて楽しめれば、
もう、その人にとっては名盤であるといえる。
ここに入っている歌の多くは、DAMだと収録されているので、
(他の機種でもある程度は入っているが)
カラオケで歌ってみるのも楽しい。

5月22日

『susanna hoffs』(Susanna Hoffs)

大学の近くのCD屋で\100でゲット。
しかも新品。掘り出し物だった。
スザンナ・ホフスは、バングルスのヴォーカルだった人。
バングルス解散後、このようにソロアルバムを出したのだが、
その後彼女の活躍を聞かない。どうしているのだろうか。
2曲目の「all I want」でのスザンナの歌い方が
「ALL I WANNA DO」でのシェリル・クロウとすこし似ている。
9曲目の「hapy place」もいい。
バックのアコースティック・ギターとドラムがロックしてる。
アラニス・モリセットとかスザンヌ・ヴェガといった
女性ヴォーカルが好きなら気に入るはず。
(スザンヌ・ヴェガほど暗くない)
特に前衛的というわけではないけど、古臭くもない。
クセの無い、正統派のヴォーカルを前に出しているからかな。

5月21日

『christina aguilera』(Christina Aguilera)

私のCD棚の中でこのCDが一番新しい。
アルファベットで書いてあるのは、輸入盤を買ったからである。
このCDを買ったあともCDは何枚も買っているのだが、
昔の再発のCDを買うことが多いので、
オリジナル・リリースの時期はこれよりも古い。
これを買ったのは去年の10月13日。
もう半年以上も前のことである。
このCDを聴いたときの最初の印象は、
「マライア・キャリーの影響を受けているな」だった。
たくさんのシングルで全米1位を獲得している
マライアの影響を受けていることは、
18歳というクリスティーナの年齢を考えれば
もちろん、とても自然なことである。
高音の歌い上げ方に特にその影響を強く感じる。
シングルカットされ全米1位を獲得した
「Genie In A Bottle」はテンポのいい佳曲。
ダンスポップス隆盛の最近の流れにとてもマッチしていると思う。
私が一番好きなのは、映画「ムーラン」に使われている、
6曲目の「Reflection」。スローバラードの曲。
ここまで歌い上げる彼女の技量は見事。
声量もあるし、歌声も安定している。
グラミーの最優秀新人賞の実力を感じる。

5月20日

「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(クリストファー・クロス)

最近、AORの人気が回復してきているようだ。
この曲はAORを代表する曲の一つ。
作曲はバート・バカラック。
メロディは重くないんだけど、
細部までフレーズを作り上げていて、手を抜いてない。
ただ曲調が軽いだけの内容が無いB級AORとは違う。
イントロのピアノはとても都会的。
歌声、間奏のSAXが甘く響いている。
(人によっては、あの甘い歌声がいやな人もいるだろうけど)

5月19日

イベント「アンディ・ウォーホル展」

前売り券を買っていたのに延び延びになっていて、
最終日2日前にようやく行って来ました。
シルクスクリーン以外の作品がだいぶありました。
使用する色などはウォーホルらしいんですが、
「マリリン・モンロー」のようなドきつさはなく、
見ていて、私は物足りなさを感じました。
私は「キース・ヘリングとジュアン・デュポーズ」、
「アレサ・フランクリン」が特にいいなと思いました。
「キース・ヘリングとジュアン・デュポーズ」には、
キース、デュアンと、二人の合成の顔の
3つの顔が描かれています。
その構図が良かったです。
「アレサ・フランクリン」は、
いい意味で、アフリカ形の肌が持つイメージを裏切ってます。
もう一つ印象的だったのは、
入り口に「ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」
のジャケットが展示してあったことです。
大量生産されるレコードが展示されているところが、
仕事場を「ファクトリー」と呼んでいたウォーホルらしいです。
広告美術からスタートしたせいか、
ウォーホルの作品は、純粋な著作物というより、
意匠に近い部分を持ち合わせているように思います。

5月18日

『ALBUM』(荒井由実/松任谷由実)

急に「海を見ていた午後」を聴きたくなったのでこのセレクション。
「ミスリム」は、「私の好きな音楽」のところですでに紹介しているし。
このアルバムはCD化されてないけど、レコードでたくさん出回ってるので、
手に入らないようなレア物ではないと思う。
1曲目の「遠い旅路」がとてもいい。
「血を吐くくらい 血を吐くくらい 名前を呼びたいの」
と訴えるように歌うユーミンは魅力的。
思いっきり声を張り上げる清水ミチコの物マネを、
「今ではユーミンよりもユーミンらしい」と言う人がいるけど、
ユーミンの魅力は懸命に歌うところにある訳で、
荒井由実時代の方が懸命に歌ってた。
懸命に歌うフォークシンガーが流行らなくなったことと、
ユーミンの歌から懸命さが薄れたことが関係あるかは分からないけど、
「ユーミンって、ファッションではなく、メッセンジャーだったのに」。
松任谷由実の作品を聴いているとそう思う。
例えば「リフレインが叫んでる」など、松任谷由実になってからも、
懸命に歌う曲がないわけではない。
(清水ミチコはこの「リフレインが叫んでる」を物マネする。
懸命に歌ってないと、物マネできないんだろうね)。
シングルカットされなかったのに
「リフレインが叫んでる」が有線放送で人気だったように、
懸命に歌うユーミンの魅力が80年代になってからも
決して色あせたわけではないといえると思う。
90年代、声を張り上げて歌ってた「春よ来い」が
カラオケで歌われてたことを考えても、
声を張り上げて懸命に歌うことが決して
ダサくなったわけではないのではないかな。

5月17日

映画「ぼくは歩いてゆく」

イラン映画です。銀座テアトルシネマでやっています。
(首都圏ではここだけ)
主人公のファルハードは戸籍がありません。
父親が出生届けを出さなかったからです。
ファルハードが生まれた頃、戦争中で、
役所に行ったら、兵役に取られてしまうと思ったそうです。
こういう発想を見ていると、悲しくなります。
この映画は創作ですが、
実際にこのような戸籍を持っていない子供たちがいるそうです。
親がこんな調子だから、ファルハードは
登記局に自分で足を伸ばしたり、一人でがんばります。
自分一人でがんばらなくちゃならない状況に置かれていない私たちは
自分たちの置かれている環境に感謝しなければならないでしょう。

5月16日

『えっ!あの人がこんな歌を…。』(オムニバスCD)

今日の夕刊にジャンボ鶴田さんの訃報が載っていたのでこのセレクション。
このCDにジャンボ 鶴田の「ローリング・ドリーマー」が収録されてます。
歌のほうは、まあ、プロレスラーですからねぇ。(笑)
力強いヴォーカルではあります。
下手にカッコつけて歌う俳優よりはいいかも。
まっすぐな歌い方をしています。
大勢の人に聴かせるというより、
固定ファンに聴かせるものですから、
これでいいのかもしれません。
私がこのCDを買う動機になった曲は他にあって、
「掛布と31匹の虫」(掛布雅之)や、
「タモリのワーク・ソング」(タモリ)、
「子供達を責めないで」(伊武雅刀)などが収録されてます。
伊武雅刀の「子供達を責めないで」は、とてもインパクトのある曲です。
一度聴くと、耳に残ってしまいます。
「私は子供が嫌いです」という歌い出しもすごいですが、
伊武雅刀がいかに子供が嫌いか熱っぽく歌っていきます。
「何もそこまで」というくらい熱っぽいです。
しかし、そこまで一生懸命になる伊武雅刀が
逆に子供っぽく、終わりに「離せ 俺はおとなだぞ」と
歌ってるところが逆説的な可笑しさがあります。

5月15日

『恋は水色』(クロディーヌ・ロンジェ)

クロディーヌ・ロンジェのヴォーカルって、
やる気がないようにも聞こえるけど、
あの優しいヴォーカルに私は惹かれてしまう。
決して、声を張り上げたりしないし、
「この人は歌うことが好きなのだろうか」とも思ってしまう。
ふつうもっと歌っているうちにノッてくるんだけど。
好きな人には、余計な力が入ってなくけど、
自分もリラックスするヴォーカルなんだけど、
興味ない人には、けだるくて単調なヴォーカルかもしれない。
ソウル・ミュージックのような音楽がくどくて嫌いな人にはいいと思う。
「ハッピー・トーク」のような軽快な曲も
ノリノリな感じではなく、優しく歌ってる。
(敢えて言えば、歌のおねえさんがノリノリにならないのに近いかな)

5月14日

「すばらしい日々」(矢野顕子)

出だしから、アコースティックピアノと
アコースティックギターがとてものんびりさせてくれます。
ユニコーンのイメージで聴いていると、
あまりの落差に力が抜けちゃう。
ちょっぴりジャズっぽかったり、とてもおしゃれ。
こういうのを演奏できる日本人って少ないんでしょうか。
(バックは全員外国人)
のんびりとしていた曲調も、
途中から矢野顕子もノッてきて、やや情熱的になっていきます。
矢野顕子を聞いたことがある人なら分かると思いますが、
息継ぎのタイミングが独特なので(声も特徴がありますが)、
耳に違和感が残る人もいるかもしれません。
でも、この個性が魅力の一つでもあるんですよね。

5月13日

マンガ「ジオラマボーイ★パノラマガール」(岡崎京子)

高校生の恋の話なのだが、凡庸な純愛モノでは決してない。
自分の高校時代のことをつい思い出しながら読んでしまう。
思い通りに恋が進展せず、やきもきしている様子がとてもいい。
ハルコのバースデイプレゼントのため、
健一がハルコの許に拉致されるのだが、
ケンイチがハルコを憶えてなくて、
ハルコがかんしゃくを起こしてしまうシーンが、なぜか好き。

5月12日

『み空』(金延幸子)

このアルバムを発表して金延幸子は渡米してしまったので、
「唯一のアルバム」といった表現をされることがあったが、
現在ではビクターからアルバムも出されていて、
金延幸子のミステリアスさのようなものはだいぶなくなった。
だからといって、このアルバムの魅力が薄れるわけではない。
アコースティックギターが気持ちよく響き、
のんびりとした曲が多い。聴いていてなごむ。
ジョニ・ミッチェルが好きな人は是非聞いてほしい。
フォークソングは男っぽい音楽というイメージがあるが、
ギターに女性の声が乗るのもいい。

5月10日

『ソリータ』(クレモンティーヌ)

アルバムに収録されているどの曲もおしゃれである。
フレンチ・ジャズのテイストが感じられる。
ついこのアルバムは聞き流してしまうのだが、
逆に言えば、聞いていて邪魔にならない曲が揃っており、
何かしながらかけておくのにとても良い。
レコードから、CDへとシフトしたことによって、
音楽を聞く場所が増えた。
音楽を聞くときはいつもライナーを熟読しながら
一つ一つの音を追っていく、といった聞きかたが減ってきた。
薄っぺらい音楽と言ってしまうことも出来るが、
「ながら聞き」には合っている作品である。
また、私が今まで紹介してきた作品は、
名盤と語られることも多い、やや重い作品が多かったので、
その意味でも、今日はこうした作品を紹介したい。
私がこのアルバムの中で特に好きな曲は、
3曲目の「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス」である。
男女のヴォーカルの掛け合いがとても素敵な曲。
適度にテンポもあるから、けだるすぎはしない。
「ピチカート・ファイブはかっこいいと思うけど、
もうちょっと本格的なフランスっぽいものが聞きたい」という人は、
このアルバムを聞いてみるといいと思う。

5月9日

『ベスト』(鈴木 茂)

私が持っている『ベスト』(ZL-5008)と
現在発売されているベスト盤は若干内容が違っていた気がします。
もしかしたら紹介した曲が、現行のベスト盤に収録されていないかもしれません。
この中で私が特に好きな曲は「微熱少年」です。
ライナーに歌詞以外のデータがないので
もしかしたら違うかもしれませんが、
たぶん、ティンパン・アレーによる都会的な演奏と、
鈴木茂のやや抑えたヴォーカルでこの歌は始まります。
だんだん鈴木茂のヴォーカルもノッてきて
力強いヴォーカルを聴かせてくれます。
そのほか、はっぴいえんどっぽいイントロで始まる「砂の女」では、
歌詞もいいし、ある部分では力強く、
またある部分では高音を利かせたヴォーカルを聴かせてくれます。
「八月の女」は、ピアノを始めとするバックも、
鈴木茂のヴォーカルもファンキーでいいです。
「LADY PINK PANTHER」は、ユーミンの「罪と罰」のような
ちょっとボサノヴァタッチの曲。
(とはいえ、ロックっぽさも残ってます)
鈴木茂のヴォーカルは、時折、
はっぴいえんどの頃の大滝詠一を思い起こさせます。
はっぴいえんどっぽさを大滝詠一や(*)細野晴臣よりも
残しているといってもいいような気がします。
(* 大滝詠一のソロ・ファースト作品は、
はっぴいえんど解散前の作品で
はっぴいえんどらしさが感じられます)

5月8日

『MUSIC FOR AIRPORT』(BRIAN ENO)

アンビエントという言葉を聞いたことがありますか?
ブライアン・イーノのこのアルバムは、アンビエントを代表する作品です。
アンビエントは、「環境音楽」と訳されることもあります。
このアルバムでは、空港での不安感を音楽で表しています。
このように、抽象的なものをブライアン・イーノは次々と
アンビエント・シリーズで表しています。
ブライアン・イーノのアンビエントシリーズでは
このように概念的なものとして
「アンビエント」という言葉を使用していますが、
アンビエントが、ジャンルを表す言葉となった現在、
その言葉は少し意味合いが変わったように思えます。
アンビエントをジャンルとして捉えたとき、
メロディーが無く、音の連なりが幻想的である。
としか私は言えません。
このジャンルに詳しい人ならば、もう少し違う言い方をするでしょう。
この音楽は、クラブで発達したため、
テクノと一緒に扱われたりしますが、
この作品でのアコースティック・ピアノや、
聖歌隊を思い起こさせるようエコーの利いたヴォーカル
(なんと言えばいいのだろう、「Ah」と言っているだけなのだが)
に、現代音楽の影響を強く感じます。
ロックとか聴く気になれないような
テンションが低いときはこのアルバムを聴いて
ぼんやりとした気持ちでいるのもいいのでは。

5月7日

「今だから」(松任谷由実・小田和正・財津和夫)

1985年に出されたシングル。
ユーミンが好きなら、きっと気に入るはず。
ミディアムテンポの都会的な曲。
アコースティック・ピアノをバックに、
しっとりとした曲調のB面もかなり良い。

5月5日

映画「エネミー・オブ・アメリカ」

もう、ウィル・スミスがかわいそすぎです。
詳しい話は控えますが、NSAという組織に
ウィル・スミス演じるロバート・ディーンが追われます。
理由はある政治家のエゴです。
いくら国家の安全のためとはいえ、
衛星を使って市民を監視できるシステムがあるのは怖いです。
そういったシステムを生身の人間が管理するわけですから、
映画のような話が実際起こらないことを祈るしかありません。
「ジャッカル」に出ていたジャック・ブラックが出ていて、(fiedler役)
「あっ誰だっけ、ジャッカルに出てた人!」と気になってしまいました。
ちなみに、「ジャッカル」では、特殊武器を作るチンピラを演じてました。

5月4日

『リジョイス』(エモーションズ)

このアルバムのメインは、「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」である。
ディスコのオムニバスにもよく収録されており、
知っている人も多いだろう。
メインヴォーカルとコーラスの掛け合いが見事。
他にもいい曲はある。(次の2曲は何故かベスト盤に収録されていない)
「恋はハプニング」 5曲目。ホーンとシンセがファンキー。
「wow wow」と、コーラスもミディアムテンポの曲調にノっている。
セクシーなヴォーカルもgood。
「スリップ・アウェイ」 6曲目。これもミディアムテンポの曲。
間奏に入るピアノがかっこいい。

5月3日

『メイド・イン・アメリカ』(カーペンターズ)

カレンが存命中に出された最後のオリジナルアルバムである。
カーペンターズというと、デビューしてから
「イエスタデイ・ワンス・モア」を出すまでの3年間が
クローズ・アップされることが多い。
確かに彼らはデビュー以来数々の名作を残し、
ポップス界の頂点へと駆け上っていった。
当時、彼らの個性が新しい音楽を生み出したのだが、
あまりにも彼らの音楽が浸透していった結果、
彼らは今ではすっかり古くなった印象はないだろうか。
もちろん彼らは70年代を代表するポップスターなのだが、
「今さら、カーペンターズなんて」というような人に聴いて欲しい。
勿論、カーペンターズらしいポップスがこのアルバムでも聴けるのだが、
ラジオやテレビなどでよく流れる初期の名曲のように
聞き古された感じは受けない。
このアルバムの曲で私が特に好きなのは次の3曲である。
「遠い想い出」 1曲目。アレンジなどとてもカーペンターズらしい一曲。
カレンの高音が流れるように私の耳へと伝わってくる。
「バック・イン・マイ・ライフ」 3曲目。出だしのシンセと、
間奏のサックスに耳がいってしまう。
カレンの歌声が、ミディアムテンポのメロディーと
見事に一体となった佳曲。
「タッチ・ミー」 7曲目。サビのコーラスが歌の一番の聴かせどころ。
ゆったりとしたドラムと、歌い出しのときに発するカレンの呼吸とが
見事に一致していてすばらしい。

5月2日

『GO! GO! NIAGARA』(大滝詠一)

ラジオを聴く趣味を持っていない人には、
このアルバムのの製作の意図がつかみにくいかもしれない。
大滝詠一さんがDJをしていた
「ゴー・ゴー・ナイアガラ」というラジオ番組を再現し、
この番組の中で新曲を紹介している、というのがアルバムの趣向である。
このアルバムには、古き良きアメリカのラジオ番組のムードが盛りこまれている。
ライヴ盤とは違う躍動感が、ラジオ番組を再現することによって表れている。
このアルバムは、特にジングル、ほかにもオープニングやエンディングに凝ってる。
「ゴー・ゴー・ナイアガラ」の放送は聴いた事が無いが、
ラジオ番組の再現に当たって、細部まで凝っている様子は分かる。
「またお耳にかかりたいと思います。バイバーイ」
で終わるところなんてラジオの言い回しそのもの。
そのあとに「こちらはナイアガラ・レコードです」とくるあたりも
リスナーにはたまらないのでは。
最後の曲が終わり少し経ってから、
大滝さんの声でこう続く。「あのー、終わったんですけど」。
「あ、終わったんだ」と、CDプレーヤーの方に視線を移してしまうだろう。
大滝さんの声によって、私たち聴き手の視線が動かされるのである。
ラジオの持つ送り手と受け手の一体感が、こうして再現されている。
ラジオをよく聴く人なら、この辺の一体感は解るでしょう?

5月1日

『アビイ・ロード』(ビートルズ)

こういう超有名盤は、コメントしにくいです。
私はこのアルバムを「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」を聴きたくて
買ったのを憶えてます(いわゆる青盤にこの「マックスウェルズ〜」は収録されていない)。
この曲ではポールののんびりとしたヴォーカルが聴けます。
「ホエン・アイム・シックスティ・フォー」など、ポールはのんびりとした名曲をほかにものこしてる。
ほかにもこのアルバムには、青盤に未収録の名曲があります。
「アイ・ウォント・ユー」…ジョンの陰のあるヴォーカルと
ブルース調のギターの調和とが作り出す曲調がかなり好き。
「ビコーズ」…シンセとメンバーのコーラスから始まるこの曲はとても美しい。
「オー!ダーリン」…10ccの「ドナ」の元ネタ。
「Oh! darling」で始まるポールのヴォーカルはとてもロックしてる。
「ジ・エンド」…リンゴの小気味いいドラムソロは必聴!

4月30日

『はっぴいえんど』

「ゆでめん」と呼ばれる、はっぴいえんどのデビューアルバム。
『ロングバケーション』で有名な大滝詠一さんは、
この頃(1970年)からいい曲を書いています。
「朝」(大滝 曲)のようなメロウな曲と、 「あやか市のどうぶつえん」(細野 曲)や
「いらいら」(大滝 曲)のようなノヴェルティ・タッチの曲が収められているのだが、
人によってはノヴェルティ・タッチの曲に馴染めない人もいるかも。
私は「あやか市のどうぶつえん」から「十二月の雨の日」へと続く6〜7曲目の流れが好きです。
「あやか市のどうぶつえん」がアップテンポなだけに一層、
「十二月の雨の日」での揺れるギターの音が心を揺さぶります。
「あやか市のどうぶつえん」に抵抗がなければ、買いです。

4月29日

映画「運動靴と赤い金魚」

アリとザーラという二人の兄妹の物語です。
ザーラの靴がアリのミスでクズやさんに持っていかれてしまう。
ふたりは、ザーラの靴を何とかしようと奔走する。
ある日、クズやさんから手に入れたのだろうか、
ザーラの靴とよく似た靴を履いた女の子を見つける。
ある日、その女の子の靴が新調されていた。
「前履いていた靴はどうしたの?」とザーラに訊かれた女の子は、
「お母さんが捨てた」と答える。
すると、ザーラは目を丸くして、「捨てた?どうしてよ」というシーンはジンときた。
モノにあふれている生活をしていると、こういうことにジンときてしまいます。
なぜ、タイトルに赤い金魚が出てくるのかは、ラストを見ると解ります。

4月28日

『グレイテストヒッツ』(ジャニス・ジョプリン)

ほかにもジャニスのベスト盤はあります。
曲数が他のベスト盤よりも少ないので、少しものたりないかも。
ただ、これが一番出まわってるはずなので、これなら中古で手に入るかも。
この中で特に私が好きなのは、「サマータイム」。
この曲はジャズのスタンダードナンバーとして エラ・フィッツジェラルドのものなどが有名ですが、
ジャニスが歌うとまるで別物。4分間ずっとブルース色の強い曲調が曲を支配します。
声を振り絞るように歌うヴォーカルは、切実に私たちに何かを訴えてきます。
ほかにも、「愛は生きているうちに」などブルース調の曲が収録されており、
何もする気がおきないときは、一人で少し部屋を暗くして聴いてみてください。

4月27日

『勝訴ストリップ』(椎名林檎)

高校・大学を通しての友人、「せんぱい」から借りたCD。
(個人的にこのあだ名はNGなのだが、本名載せるよりはいいでしょう。)
パッケージ、ジャケットに凝ってるところもポイントだが、良かった曲をいくつか挙げてみる。
「浴室」 … 2曲目。ちょっとダンスミュージックっぽい曲。 椎名林檎はこういうのもうまくこなすんだ。
「闇に降る雨」 … 5曲目。バイオリンをフィーチャーしたイントロにある種の実験性を感じる。
(次に進む方向性を探しているような)
随所随所で巻き舌がひかる曲(巻き舌も、「罪と罰」の出だしまでいくとちょっとしつこい)。
「ストイシズム」 … かなり実験的。音が面白いから、意外と海外で受けるかも。
戸川純が好きな私としては、椎名林檎がこの路線でいくのも面白いかなと思う。
6曲目の「アイデンティティ」を聴きながら、「椎名林檎はバックミュージシャンに恵まれてるなぁ」と思った。
2週間ほど前、「罪と罰」といっしょに「ギブス」を中古で買ったのだが、そのときは
「だってカートみたいだから あたしがコートニーじゃない」
というフレーズに気付かなかった。
どうもシングルって消耗品で、それに比べアルバムは鑑賞の対象として扱える。

4月26日

映画「この森で、天使はバスを降りた」

主人公が5年の服役から出てくるという出だしから惹きこまれますが、
(主人公が自分の過去の過ちに涙を流すシーンも。)
ラストの親子の再会がとてもいいです。
アメリカの映画で、親子の絆を描いた物語はたくさんありますが、
こういった話に抵抗のない人はぜひ。



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