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10月31日

『パール』(ジャニス・ジョプリン)

ジャニスの遺作。
1曲目の「ジャニスの祈り」から、ジャニスは飛ばしている。
現世に取り残されてしまった私たちは、
彼女が生き急いでいたと感じずにはいられない。
ブルース・ロックの佳曲。とてもソウルフルだ。
2曲目の「クライ・ベイビー」では、
彼女の痛切な叫びがスピーカーの奥から聞こえてくるが、
私たちにはどうすることも出来ない。
彼女の叫びは聞こえているのに。
聴いていて、やりきれなさが起こる。
4曲目の「ハーフ・ムーン」も好きな曲の一つ。
アコースティック・ピアノがとてもジャジーで、ノリがイイ。
ピアノによるリフが私の体を揺さぶる。
9曲目の「トラスト・ミー」では、スロウな曲に、
歌詞が完全に乗り切らずにシャウトしている様子が、
尾崎豊を思い起こさせた。
10曲目の「愛は生きているうちに」では、ジャニスは伸びやかに歌っている。
物悲しい曲調なのだが、あまり痛々しさは感じない。
声を枯らしながらというのではなく、感情を少し抑え気味に歌う様子は、
まもなく死を迎えることを感じさせないくらい平穏だ。
ジャズ歌手のようなゆったりとした貫禄さえ感じさせる。
物悲しさが漂う曲が多い中で最も悲しい歌は、
5曲目の「生きながらブルースに葬られ」だ。
録音されるはずだった、ジャニスの歌声はそこに無く、
スピーカーからインスト曲が流れてくる現実を前にして、
彼女の死がもたらした大きく重いものを強く感じるのだ。

10月28日

『イル・エ・エル〜彼らと彼女』(クレモンティーヌ)

彼女がもうすぐ来日するのに合わせ、このセレクション。
4曲目に「男と女」が収録されている。
これが楽しみで買ったのだが、期待はずれだった。
ラッパーのMCが余計だ。
クレモンティーヌのMC(スキャット)も少し無理している。
けだるい感じに、囁くのが私は好きなんだけどなぁ。
全体の曲調を打ちこみのクラブ調にした流れを考えると、
こういうアレンジが自然なんだろうけど。
打ちこみによるこのテンポには不満がないんだけどなあ。
9曲目の「星に願いを」は良かった。
レゲエっぽいアレンジが曲調をいい感じに軽くしている。
夏に聴くと、ピッタリな曲。
4人のサウンド・プロデューサーによってこのアルバムが作られているので、
(一人は、'70年代フュージョン界を代表するアーティスト、
エウミール・デオダートである)
クラブ調、レゲエ調、フュージョン調と、曲調が多様性に富んでいるが、
どれも軽い曲調で、アルバム全体の感じを壊していない。
夏に、何かをしながら流していたらいいと思う。

10月26日

『君への気持ち』(つじあやの)

8月4日のセレクションで取り上げた
『春は遠き夢の果てに』の前に出された6曲入りミニアルバム。
2曲目の「たんぽぽ」以外は、『春は〜』には未収録である。
3曲目の「おいたままラヴレター」は、
『春は〜』に収められている「おいたままラヴレター 続編」とは趣を異にしている。
ここでの「おいたままラヴレター」は、バンジョー、アコースティック・ピアノなどによる、
アコースティックならではの軽さがあって、
ラテンの国のどこかのお祭りで奏でられそうな演奏である。
4曲目の「時間ドロボウ」は、イントロのトランペットが、
マーチ調の弾む調子で奏でられている。
ビートルズの「イエロー・サブマリン」の様な、
おもちゃの兵隊が行進するような軽快さである。
続く5曲目の「さようなら」は、ウクレレだけの弾き語りで、
聴き手の心を落ち着かせてくれる。
6曲目の「想い出」も佳曲。
アコースティックギターなどのバックがやわらかな音色を奏でている。
スローなテンポに歌詞が一つ一つ乗っている。
歌詞が詰め込みすぎていない。
つじあやのが歌う歌詞が一語一語耳に入ってくる。

10月24日

映画「議事堂を梱包する」

目の前の大きなスクリーンに、
きらきら光る、光沢のある白い布に覆われた
ライヒスターク(旧帝国議会議事堂)が映し出されたのを見た時、
私は「きれいだ」と感じることしか出来なかった。
あまりの美しさにその他の感情は働かずにいた。
バックのクラシック音楽が建物をより荘厳なものに見せる。
風のある日、太陽が真っ白く輝いている昼、紫色に空を照らす夕方、
布に覆われたライヒスタークは、その都度、違った表情を見せる。
布に覆われたことによってそこに匿名性が与えられ、
新品のオーディオ製品のような印象を受けたかと思うと、
天空城のような神々しさをもって、私達の前に現れることもある。
この美しさを表現するために、プロジェクトを実施する許可を得るために、
連邦議員の交渉などに22年以上かけた
クリスト&ジャン=クロードの努力には感服する。
彼らはこの計画が金銭的な理由による反対を受けることを避けるために、
800万〜900万ドル掛かるライヒスタークを覆うコストを、
全て自分達で負担しているのだ。
これだけ計画が難航すれば、普通、「そこまでしなくても」という気になる。
しかし、白く覆われた建物を見た時、
この計画の素晴らしさを実感した人は多かったに違いない。
計画し始めた頃は、クリストの髪も黒々としていた。
明るい先行きが見えない中での交渉によるストレスもあるだろう。
計画の可決を議長が宣言するのを傍聴するクリストの頭は、
白髪の方が多くなり、すっかり薄くなっていた。
この計画を支援していたブラント首相は、 公開時には、すでに故人となっていた。
計画から公開までのこの長い年月が、作品をより美しいものにしたと思う。

10月19日

『夢語り』(シティ)

キャロル・キングが『ライター』でソロデビューする前に、
チャールズ・ラーキー、ダニー・クーチと結成したバンド、
シティが残した唯一のアルバム。
ギター、ドラム、アコースティック・ピアノによって
音がまとまって構成されている。
ソロ作品でのキャロル・キングのピアノはとても魅力的だけど、
ここではソロ作品のように、
彼女のピアノを全面に押しだす曲はなくて、
このまとまった音の中で彼女の歌声を聴くのもいい。
やはり、このアルバムでも、曲が丁寧に作りこまれている。
このあたりは、さすがキャロル・キング。
声もよく通っている。
がなることなく、しかし力強いヴォーカルが聴ける1曲目の「スノウ・クイーン」、
多重録音によるコーラスがきれいな、4曲目の「パラダイス・アレイ」、
後のアルバム『ミュージック』の雰囲気がある、しっとりした7曲目の「別離」、
などが私のお気に入り。
3曲目の「夢語り」、6曲目の「状況の犠牲」の軽快な曲の感じは、
ブリル・ビルディング時代の彼女の曲を思い起こさせる。

10月15日

マンガ「愛の生活」(岡崎京子)

久しぶりにこのマンガを読み返してみたのだが、
最初に読んだとき以上に、いろいろなことを感じた。
岡崎京子の他のマンガにもあるのだが、
マンガの視点がコロコロ変わり、
読んでいて内容を掴むのに時間がかかる。
登場人物の相関関係も、一度読んだだけでは分かりづらい部分がある。
最近、「愛ってなんだ」と考えることが多く、
その意味でも、以前は感じなかったようなことを
いろいろ考えながら読んでいた。
(結局、ピュアな愛なんて、なかなかないから映画になるのであって、
愛を突き進めて探そうとなると、
このマンガの登場人物みたくなるのではないだろうか。)
あとがきに、「愛することが出来るということは才能の問題でもありますが、
どちらかというと努力の問題という気もします」と書いてあるが、
愛に対してセンシティヴになりすぎないことが大切なのではと思う。
62、63ページの三太の独白などを読んでいると、
結局、愛って感情の純粋な部分以外によって、
例えば、都合がいいとか、お金とかによって
支えられている部分を無視できないと思う。
それなのに、純愛とか考えるから苦しくなる。
長くなるので、三太の独白の一部だけ引用する。
「そうだそもそもなんで一緒に暮らしたんだろう
たまたまつごうのいいOLがそこにいたから?
(オレにとってね)
たまたまつごうのいい若い男がそこにいたから?
(あいつにとってね)」
他人から見れば、「愛のかたち」に見える結婚やセックスといったものが、
自分の愛を満たしてくれない。
このマンガを読んでいると、「自分は本当に愛されているのだろうか」とか、
「自分は本当にこの人を愛しているのだろうか」とか、
「本当に愛することが出来る人を見つけることが出来るのだろうか」
といったことを考えてしまうはずである。
たとえその人が自分にとって大切な他の欲求を満たしていなくても、
自分の欲求を一番満たしてくれる人といるのが恋愛なんだと思う。
一番大切な欲求が何かを選ぶことが、相手を選ぶことに大きく関わっていく。

10月14日

『ゆずえん』(ゆず)

ここに書くCDは、私が持っているCDの中から
好きなものを選ぶことが多く、
どうしても、主観的な、肩入れした文章になってしまう。
このCDは、友達から借りたもの。
彼らの歌を、街中や、TV以外ではなく、
1枚のCDをじっくり聴いたことがなかった。
このアルバムの中で一番よかったのは7曲目の「いつか」だが、
その他にも、11曲目の「からっぽ」とか、14曲目の「悲しみの傘」など、
いい曲があった。
(最近のアルバムには、シングル・カットされた曲と
そうでないアルバム曲の質の差がハッキリしていて、
アルバムを買う魅力が無いようなものもあるが)
コーラス物が好きな私にとって、
二人の声が合わさった感じが一番の魅力である。
のんびりした曲の方が、二人の声を楽しめていい。

評論家ぶって、批判調な文章にならないように気をつけた。
そのよさも判らずにあれこれ言うのは好きじゃないから。
ファンって理不尽だよなぁ。
もし大滝詠一がこのCDの12曲目の「未練歌」のような歌い方をしたら、
私は「味がある」と感じるだろうに、
ゆずだと、「アクが強い」と感じるんだから。

10月11日

『チェット・ベイカー・シングス』(チェット・ベイカー)

やわらかい声で、眠くなるくらいに優しく歌う。
イントロや間奏のトランペットもとても心地よい。
ジャズにブラック・フィーリングを求める人には、
「こんなのJAZZじゃない」となるのだろうが、
急に、季節が秋へと変わり、心にぽっかりと穴が開く。
そんなうら寂しい気持ちを埋めてくれるアルバム。
ある意味、これを聴いて「なんか、かったるいなぁ」と感じたら、
精神的に健康なのかもしれない。
なんか、これを聴いていると、すごく落ち着くんだよなあ。
疲れているんだろうなぁ。
しっとりした曲ばかりでなく、軽いテンポの曲もあるが、
チェットの落ち着いた声によって、
しっとりとしたアルバムのトータル・イメージは崩れない。
私は、このアルバムを秋に聴くのが好きなのだが、
この10曲目の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、
ヴァレンタイン・デーに、ラジオでよくかかっている。
2/14に彼の甘い声を聴いたことがある人は少なくないのでは。

10月9日

『ヌートピア宣言』(ジョン・レノン)

原題は『MIND GAMES』。
タイトル曲の「マインド・ゲームス」以外、あまり知られた曲もないが、
今日のような雨が降っていて何もする気が起きないような日に
ぴったりな曲がいくつも収録されている。
3曲目の「あいすません」で
「All I had to do was call your name」と歌うジョンを聴いていると
心がギュッと締めつけられる。
歌詞カードもタイトル同様、「Aisumasen」となっているが、
ジョンの歌からはきちんと、「あいすいません」と聞こえる。
他にも、4曲目の「ワン・デイ」とか、
8曲目の「アウト・ザ・ブルー」とか、
10曲目の「アイ・ノウ」とか、
11曲目の「ユー・アー・ヒア」とか、
身を乗り出して聴き入る名曲ではないのだが、
部屋でぼけ〜っとしている私の周りの雰囲気に
馴染んでしまう曲である。
7曲目の「インテューイション」も名曲というほどではないが、
軽快なリズムに乗せて聞こえてくるジョンの声の感じがいい。
このアルバムで、ジョンは、何もしないでいる無気力な私を、
ハッパをかけるでもなく、ただ見守ってくれるのである。
「真夜中を突っ走れ」より、「ジェラス・ガイ」が
好きな人にお薦めのアルバム。
ジャケットの中央に横たわるヨーコの顔がちょっと不気味。
初めてこのアルバムを見たときは、あまり聴く気になれなかった(笑)。

そして最後に、Happy Birthday, JOHN !

10月8日

『ベスト・コレクション』(荒木一郎)

トリオ時代のアルバムが再発されるなど、
最近、荒木一郎が再び注目されている。
そんな荒木一郎のベスト盤。
荒木一郎のベスト盤は
いくつかの会社から出ているが、
これはソニーから出ているもの。
自主制作盤からの音源が5曲、
トリオ盤からの音源が10曲収録されている。
荒木一郎の魅力は、丁寧な歌い方だ。
アップ・テンポの「いとしのマックス」のような曲も
落ち着いた感じに歌う彼の歌い方は、
私たちに上品な感じを与える。
楽譜上の1小節と、歌詞の1文節が同じなので、
思わず口ずさんでしまうくらい、
自然に歌詞がスッと入ってくる。
6曲目の「梅の実」や、10曲目の「妖精の詩」などの
しっとりした曲からは演歌っぽい雰囲気が漂っていて、
古くさいイメージをどうしても受けるが、
アメリカの古いポップスを自分なりに料理した音作りは、
大滝詠一が好きな人なら気に入るはずである。
この中で特に私が好きな曲は、
2曲目の「今夜は踊ろう」、
5曲目の「いとしのマックス(マックス・ア・ゴーゴー)」、
9曲目の「ジャニスを聴きながら」の3曲である。

10月5日

『EACH TIME』(大滝詠一)

今日放送の「トップランナー」(NHK)のゲスト
松本隆にちなんだセレクション。
5月23日のセレクションに取り上げた、
『ロング・バケイション』の3年後に発表されたアルバム。
これ以降、大滝詠一のオリジナル・アルバムは発表されていない。
全体的に、前作よりもメロウな感じである。
「雨のウェンズデイ」など、メロウな曲が好きな人は気に入ると思う。
5曲目の「銀色のジェット」の雰囲気は、
「雨のウェンズデイ」とに似ている。
ほかにも、北村英治のクラリネットが聴ける
3曲目の「木の葉のスケッチ」、
7曲目の「ガラス壜の中の船」、
(このアルバムの中で最もメロウだ)
ラスト曲、9曲目の「レイクサイド ストーリー」など、メロウな曲が目立つ。
軽快なポップスが好きな私には、少しメロウすぎるくらいだ。
1曲目の「魔法の瞳」のような50'sポップス調の曲でも、
技巧的な歌い方をしているので、
(多分本人は、フランク・シナトラか誰かを意識しているのだろう)
「くどい」と感じ、歌に馴染めない人もいるだろう。
人によっては悪趣味と捉えるかもしれないが、
4曲目の「恋のナックルボール」で、
軽快なポップス曲に不似合いな野球の応援の効果音が
挿入されているのがオチャメで好きだ。
こういうオチャメが解る人には、
彼の77年の作品『ナイアガラ・カレンダー』がオススメである。

10月2日

『グレイテスト・ヒッツ』(カイリー・ミノーグ)

シドニー・オリンピックの閉会式で
アバの「ダンシング・クイーン」を歌った彼女を
リスペクトしてこのセレクション。
(オーストラリア人って知ってましたか?)
日本で1曲目の「ラッキー・ラヴ」がヒットしたのが、’88年。
当時、私は9歳。
この曲を聴きながら、ディスコという場所に思いを馳せていたので、
私個人にとっては、大変思い入れのある曲。
(小学生の頃って「大人の世界」にやたら首を突っ込みたがりますよね)
小学生の私も耳にするくらい流行った訳で、
今となっては、他のアーティスト以上に
聴き古されてしまった感がありますが、
単調な打ち込みにかぶさるようにシンセの音が多用されているので、
今のクラブ・ミュージックよりも、私は聴きやすいと思う。
また、今の音楽とのつながりも感じる。
例えば、5曲目の「エスペシャリー・フォー・ユー」の
スローなメロディーな感じは、
バックストリート・ボーイズと通じるものを感じる。
年代順に楽曲を聴いていると、
やっぱり、ヴォーカルに貫禄が出て来るんだよなあ。
個人的には、少し残念。
最後に、私が一番好きなのは、7曲目の「ノー・シークレット」。


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