3月8日

マンガ「内気なジョニー」(多田由美)

短編集。ダウナー系の主人公多数。
インコが死んで仕事休むか?
マンガ相手に真面目にツッコんでもしょうがないから
ツッコミはこれくらいに。
ダウナー系のナヨっとした男が好きな人とか、
このマンガ、お気に入りだろうなぁ。
ちょっとトンがった男の子も出てくる。
ナイフを人に向けちゃう男の子。
後期の岡崎京子、初期の魚喃キリコ、楠本まき。
この人たちのマンガに出てくる子の延長って感じの
かっこいい男の子。
マンガってその読後感で、自分の感情がわかる、
バロメータ的な性質を持ってると思う。
このマンガも、子離れできない母親とか、
登場人物の自己中心的なイラついたり、
社交的でない主人公に自分を重ねて、
自分の感情をさらにふさぎ込めてしまったり、
バロメータ的な役割を果たすと思う。
わがままな登場人物が多い。
作中は自己愛、ディスコミュニケーションがいっぱい。

3月4日

マンガ「黄色い本」(高野文子)

この人の本をセレクションで書くのは難しい。
明確なストーリーが無い話をたくさん書いてるから。
この本もそう。「チボー家の人々」にのめり込んでる少女の話だが、
彼女の周りの現実世界と、彼女の頭の中の世界を
交差させて描くから、正直、読んでて神経を使う。
主人公の女の子、実地子が、「チボー家の人々」の世界に
自分もいるかのように陶酔している感じがよく出てる。
熱く燃えている主人公に触発されて、熱くなることが私もある。
でも、こういうの、傍から見ると不思議ちゃんに見えるんだろうなぁ。
高野文子が好きな人は、この新刊も買ってもいいと思う。
頭がグルグルするような、この人の作品が持つパワーは健在。
ただ、全p152で800円だから、割高な感じはあるけど。

3月2日

マンガ「AQラヴァーズ」(耕野裕子)

私が知る限り、耕野裕子の最も新しい作品。
画が少し上手く(スタイリッシュに)なったと思う。
男の子が楠本まきのような
90年代的なかっこいい男になってる。
目の感じは相変わらずだけど。
岡崎京子も何描いても岡崎京子だし、
目は特にマンガ家の命だから、
そうそう変わるもんでもないし。
ここは作品を紹介する場なのだが、
この人のマンガの魅力を紹介するのは難しい。
この人が描く心の機微が、私を含め
ある読者たちの波長と合っているから
この作家は支持されたんだと思うし。
話の設定が自然で感情移入しやすいのが多いと思う。
だからすんなり入って来るんだけど。
男の子がかっこよすぎないから、
男の私には自然に映る。
このマンガでは主人公がバンド活動をしてて、
他のマンガでは主人公が8ミリ撮ってたり
するんだけど、これが自然ではない読者も多いかな。
私の周りにはバンド組んでたり、映画撮ったりしてる
友達がいるんだけど。
(特に私の場合、友達の表舞台というかっこいいとこしか
見てないからそういう活動をかっこよく描かれているのに
まったく抵抗ないのだ)
不倫している主人公メイコに対し
「自分以外の人を愛している人を
相手にする不倫なんてやめなよ」と
接する男友達ワトの姿がいい。
この2人はくっつくんだけど、これは
くっつくという結末より、メイコは不倫相手を吹っ切り
どのようにワトと接近していくのかを
読んでいくマンガ。
このマンガを読んでワトの言葉にジンとしたなら、
作者が恋愛の中で言って欲しいと思ってる言葉と、
あなたがここで言って欲しいと思ってる言葉が
一致しているということ。
耕野裕子はそこで言って欲しい言葉を
主人公にきちんと言わせるから
読んでいてその展開にジンとしてしまうのだ。



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