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1月30日

「ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ」(滝本竜彦)

現在の文庫の市場を語る上で無視できないライトノベル。
これまで私はまったく触れてこなかったジャンル。
ライトノベルに詳しい知り合いに薦められたのがこれ。
話の主人公は平凡な高校生山本陽介。
話は山本の視点、一人称「オレ」で進む。
雪が降るある夜、山本は一人の女子高生と遭遇する。
彼女の名は雪崎絵理。
彼女はチェーンソーを振り回す不死身の男と戦っている。
山本は絵理に協力していく中で、
チェーンソー男を倒すことに自己実現を見出そうとする。
その過程、チェーンソー男という非現実的な状況に
懸命になることに、山本は「現実逃避」ではと考える。
自分が何者であるかが定まっていない思春期の揺れ動く心が描かれ、
そしてその心の揺れを乗り越えるための
絶対的な答えなんてないことが示されている。
そのことにある程度年齢を重ねれば人はみな気づくだろう。
絶対的な答えなんてないから黙ってても人は成長し
ある年齢に達すれば大人とみなされる。
自分の進む道に悩むことなく決断を先延ばしにしたり
困難から逃げていても。
年齢を重ねていき、社会との関わりが強まっていくと
決断を迫られたり困難にぶつかることが多くなる。
そんなときににっちもさっちもいかなくなり
そのまま停滞してしまい最善をつくすことが
できなくなったりしないように
人は思春期のうちから何かを決断したり
困難に立ち向かっていくことが必要なのだと
この年になったからわかる。
この作品を読む若い子達がそれだけそのことに気づいてくれるだろうか。
絵理のことを「絵理ちゃん」と描写し話が進んでいったり、
高校生の男の子が頭の中で考えていること
そのままで話が進んでいくので、
ライトノベルに慣れてないとこの文体に戸惑うと思う。

1月9日

『frail』(マリア・ソルヘイム)

ノルウェー出身のシンガー・ソングライターの
日本での2枚目、本国では3枚目にあたる。
全体的な印象としては、
前作に比べセールス面では苦戦するだろうが、
彼女のファンの間では前作よりも
高く評価する人も出てくるだろう、そんな感じを受けた。
私たちが持っている北欧のイメージを裏切っていない。
シンプルな音の組み合わせで騒々しくなく、内省的。
ちょっと面白い曲もある。
例えば8曲目の「restless girl」。
ギターの感じはブルージーで
前半の彼女のヴォーカルは抑え気味。
暗い感じの曲調に芯があって強さがある声が合わさると、
逆境に負けないといった感じになり、
彼女のヴォーカルの芯の強さがよく伝わってくる。
1曲目「too many days」もフォークロアっぽい演奏に
透明なヴォーカルが重なっていて面白い。
しかしやはり彼女のヴォーカルが最も生かされているのは
ECMジャズっぽかったりアンビエントぽかったり
内省的なブリットロックっぽい演奏に彼女の声が乗っている曲。
3曲目「kissing me」はギター中心の演奏に
オルガンと心音を思わせるリズム楽器(何だろう)が重なっている。
7曲目の「natural silence」では、
前半、少し陰りがあるギターとベースが静かに響き
そこに彼女のヴォーカルが乗っている。
後半はコーラスっぽく、高いキーで静かに歌っており、
そこに自分の声を重ねていて幻想的な感じになっている。
また今回もポップな曲があって、それは5曲目の「mr iceman」。
演奏の感じは少し70年代のウエストコーストロックっぽく、
ホーンが時々入るのも軽快でいい。
全体的には前作より装飾っぽい感じが落とされているので
彼女の魅力そのものが伝わると思う。



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