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12月31日

小説「夏の庭」(湯本香樹実)

3人の小学生の男の子たちが
1人の老いた男性と出会い
その交流の中で男の子たちは大人になっていく。
彼らが一歩一歩自立していき
それはロードムービーを見ているよう。
大人へと近づいたトピックって
この話のように具体的な形では
なかなか表れないと思う。
私自身を振り返ると、
大人へと近づいたトピックって
この話のように具体的な形で表れたわけではないが
大学4年の出来事、 共同論文の執筆、就職活動を経て
社会人となって、やっと一人前の大人になれた気がする。
大人になるために必ず通るもの、
それは他者との関わり合いだ。
就活中何度も面接を受け、
そこで出会った面接官は、
学生の仲間たちとは明らかに異なる「社会」だった。
この話の男の子たちは
それまで「死」に近づこうと老人に近づく。
「人は必ずいつか死ぬ」と
頭の中では分かっていることに少しでも近づこうと、
死の瞬間を見ようと老人に近づく。
今まで見ようとしなかったものに目を向けたり、
今まで分からなかったことが
少しずつ分かるようになって
人は大人へと近づくのだと思う。
結末への展開もオーソドックスだし
少年たちと老人が近づいていく
エピソードの選び方もいいし
私もこれを見習って小説を書きたくなった。

12月21日

マンガ「マニマニ」(宇仁田ゆみ)

2003年に出会ったマンガの中でこれはヒットだった。
全6話の短編集。
1話ごとに話は完結しているが、
人物関係は少しずつ繋がっている。
初音のいとこが津恵で、
津恵が受け持ってる生徒が楓子。
そして楓子の母親が紅羽。
第1話の主人公が初音、
第2話の主人公が楓子、
第3話の主人公が紅羽、
第4話の主人公が津恵、
第5話の主人公が紅羽で、
第6話の主人公が初音。
第1話を読み始め、
初音の微妙な立場が何とも気になった。
初音は結婚を(自分一人)考えてた彼に振られ、
東京の会社を辞めて田舎に戻ってきた。
バスが1時間に1本しかない田舎で
会社を辞めた今これからどうしよう。
田舎で26歳で独身だと
周りが振る話題は結婚のことばかりだ。
私は初音のような不安は抱えていないが、
それでも将来の不安とか全くないわけではない。
今はまだ若くて会社も私に期待しているから
すぐにリストラに遭う不安もないけど、
今の会社に定年まで働いているとも思えない。
今の生活は親と同居しているから安定しているけど、
結婚したら今よりは金銭的につらくなるだろうとか
そんなことを考え始めると、
今私がしておかなければいけないことが
たくさんあるような気がしてならない。
17で妊娠した紅羽が
子供を出産して育てていこうと決意し、
髪の毛を黒く染め居酒屋でバイトを始め
ギリギリの生活を営んでいる第3話もそう。
こういう不安を描いたマンガを読むと
悩むときはとことん悩まないとだめだなと思う。
そしてそれはポジティブに生きていくということなんだと思う。

12月16日

新書「ソシュール入門」(町田健)

すごく興味深く読むことができた。
ソシュール以前の言語学者は考古学的で、
フランス語など同時代の言語が何処から来たのかに
研究の比重が置かれていたのに対し、
ソシュールは同時代の言語が
どのような仕組みのもと機能しているかを
研究の対象としていた。
人間以外の動物のコトバには単語などはなく
単語を使わないで文だけで
事柄を表しているそうだ。
つまり伝える事柄の数だけ
鳴き声の種類があるということだ。
私たち人間が覚えられる単語の数は
多くて2万から3万。
文が単語に分かれていないと
数万の事柄しか伝えることが出来ない。
何故文が単語に別れているかなど、
指摘されればああそうかと思うことを
ソシュールは一つ一つ解き明かしている。
我々が用いているコトバというものを
全体像を描きながら体型立てて説明している
その彼の優れたバランス感覚を
この書籍は私たちに伝えている。
個人的には共時態に関する部分が興味深かった。
単語の意味というのは、
現代なら現代という時代を区切って、
その同じ時代に使われている
他の単語の意味との関係だけで決まってくる。
この特定の時代における言語の状態を
ソシュールは共時態と呼び、この分析を重要視した。
単語の意味や文法の変化は
共時態の中で偶然起こり、
過去の変化から必然的に生まれるものではない、
このソシュールの視点って
社会主義革命を必然としたマルクスの考えへの反論とか
言語学以外にも生かせそうだと思った。

12月14日

映画「ブラウン・バニー」

「もしや、夢オチ?」と思ったらその通りで、
結末はちょっと残念。
ヴィンセント・ギャロが演じるダメ男が見たい人には
期待通りかもしれない。
男って、元カノを引きずるし、
「あつものに懲りてなますを吹く」ところがあって、
過去の恋愛での失敗から立ち直れず、
女性とコミュニケーション不全になってしまったり。
バド(ヴィンセント・ギャロ)のそんな様子に
私は素直に痛さを感じることができた。
私はjinと観に行ったのだが、
「やっぱり、男って過去の恋愛を引きずるよねぇ」と
観終わった後、思い当たる話を少ししたりした。
女の人はこれを観てどう思うんだろう。
「男ってこんなにダメダメなんです」って見せられても
って感じだと思うんだけど。
付き合う前の段階のカップルが見に行くのは
お薦めしません。

12月7日

映画「フォーン・ブース」

主人公、スチュは軽薄なギョーカイ人。
自分より弱い立場のものには強く当たり、
周りの人々を踏み台にしていくのを
何とも思わないタイプ。
そんな彼が、ベルが鳴った公衆電話の受話器を
思わず取ったところから話は展開していく。
電話の相手はスチュの身の内をよく知っている。
結婚しているのに、それを隠して
新進女優パメラに近づいていること。
電話の相手は、妻やパメラへの後ろめたさを問いつめる。
「電話を切ると射殺する」と脅し、
どこかのビルからスチュの足元へ銃弾を撃つなど脅す相手。
彼は電話の相手の言いなりで、
知らせを聞き近づいた警察官を挑発させられたり
電話を取ったがためにひどい目にあっていく。
電話の相手を探すミステリーでもないし、
この映画のジャンルは説明しづらいけどまあよかった。
派手な映画には飽きた人には特にいいのでは。
ダメ男にも妻には誠実な部分は持ってるし、
人間性みたいなのをこの映画から感じられるかも。
堅苦しく観る必要はないけど。
こういうダメ男はほとぼりが冷めたらまた
もとのダメ男に戻ってしまうのかなぁ。



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